番外編「2011年11月12日のこと・・・」

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そして、翌日・・・。
土曜日のバスは、通常より1時間遅いので、そんなに早起き、
というわけでもなく、子供たちはいつもより30分早いだけ。

私は、前の晩あまり寝れていないのに、朝はちゃんと起きましたし、
子供たちも、緊張気味なのか、起こしたら、すぐに起きました。

完全にお日さまが出ていないので、家を出るときにはまだ薄暗く、
ちょっと歩いたところで、忘れ物に気づいて、子供たちだけ先に
行かせて私は家に戻りました。

その時、家の前の下り坂で、なぜか転んでしまって・・・。
上の前歯の差し歯を地面にぶつけ、欠けてしまったんです。。。
もしも、この歯が差し歯でなく、私の歯だったら、すごい痛みに
立ちすくんでしまったんじゃないか、って思います。
出血もしたでしょうし・・・。
でも、すでに、数年前にちょっとしたことで、歯を折ってしまい、
差し歯にしていたので、痛かったけれど、まぁ、大丈夫って
感じだったし、病院へ行かなくちゃ、という思いが勝っていた
ので、洗面所の鏡で、とりあえずチェックして、欠けたのには
気づいていたけれど、忘れ物を取り、子供たちを追いかけました。

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バスに乗って、サラマンカへ。。。
子供連れでサラマンカへ行くのは、夏の終わりに、夫の診察の
ために出かけたとき以来。。。
でも、今回は、サラマンカへ遊びに行くのではなく、入院した
夫のお見舞いなので、前のように楽しい気分じゃなくて・・・。

サラマンカのバスターミナルには、ご近所の方が迎えに来て
くれていて、その人の車で病院へ。。。

病院へ着いて、1階の受け付けの人が「子供は行かないほうが
いいよ。ちょっと刺激が強すぎるから・・・。先生にちゃんと確認した
ほうがいい。」と言ったけど、とりあえず、夫が入院している2階へ。
看護婦さんに夫の名前を言ったら、部屋の番号を教えてくれて
「子供は部屋に連れていかないほうがいい」とやはり。。。

子供たちは近所の方と、待合室のような部屋へ。
私は、病室へ。。。

病室で寝ている夫の姿を見たとたん、やつれてあまりに変わり
果てた様子に、何が何だかわからず・・・・って感じでした。
たった、1日で、こんなに重態になってしまうの・・・?!

先生と話したら、「肺炎を起こしていて、肺がほとんど機能して
いない。呼吸が苦しいようなので、酸素吸入しているけれど、
ここでは何も治療はしていない。今日は大丈夫だと思うけど、
もって明日か、明後日まで・・・。」って。。。
嘘でしょ?!
つい、この間まで、万全ではないとはいえ、自分のことは
自分でしてちゃんとしていたのに・・・。

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病室を出て、すぐにマドリッドにいる夫の息子たちに電話。
電話に出ないので、留守電にメッセージを残しましました。
「かなり危ない状態なので、できればお見舞いに来て・・・。」

そして、日本の母に電話。。。
取り乱して、泣きながら話した記憶が。。。
夫や子供たちの前では泣けないから。。。

そして、アルベルカの知り合いに何人か電話。。。

そしたら、突然、知らない日本の番号から電話が。。。
facebookのお友達の人が、私のことが急に頭に浮かんだ
から、って電話をくれたんです。
あまりの、タイミングに驚きつつも、しばらく話していたら
少しずつ落ち着くことができ、今でも彼女には感謝です。
彼女も旦那さんを亡くしているから、なにか感じるものが
あったんじゃないかと思います。。。

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子供たちがいる待合室に行って、子供と一緒に病室へ。。。
起きて子供たちとちょっとおしゃべりして写真を撮って。。。
でもかなり苦しそうで、子供の前ではとにかく力を振り絞って
いるって感じがしました。。。

しばらくして、ご近所の方の娘さん夫婦がやってきて、
子供たちはお孫さんと遊びに、お庭に降りて行きました。
私は病室で夫のそばにいたけれど、もう夫自身の生命力
というか生きたい、という気持ちの強さ次第なんだろうなぁ~
っていう風に感じていました。

退院のときの服を持ってきて、夫の様子を見たら、戻るつもり
で出てきたけれど、あまりの変わりように、もうしばらく一緒に
いなくては・・・って感じがして、近所の方も、「ひろみが決めた
通りに、こちらは動くから。子供たちも今晩預かるよ。」と
言ってくれて、私は付き添いで泊まることにしました。

マドリッドの息子たちからも電話があり、翌日午前中に
「お見舞いに行くから。」と。。。
夫の古い友人夫妻も「午後に行きます」と連絡がありました。

子供たちは、病院にいても仕方ないので、お昼前にお友達の家に
移動して、翌日午後に連れてきてもらうことにしました。
突然頼んでも、快く引き受けてくれて、感謝感謝でした。。。
状況が状況だけに、断れなかった・・・という気もしますが。。。

夫は、相変わらず、ずっと寝ている状態。。。
ただただ、そばに付き添っていました。
付き添いの私用にもお昼ご飯の用意があって、びっくりしました。

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夕方のおやつの時間のころ、突然目を覚まして「お腹すいた!」
おやつをしっかり食べたら、急に元気に。。。
元気になったら、あれして、これして、とうるさく命令。。。

元気になった夫の様子を見て、びっくりする先生。。。
ものが食べれる、ということにも驚いていました。
食事やおやつは用意しているけれど、たぶん食べられないだろう
から、無理に食べる必要もないと、言われていましたから。。。

外を見たら、天使の梯子が・・・。
かなり長い時間見えていました。

夕食は、お魚のスープとヨーグルトを食べました。
「この間、お魚食べたい、って言ってたの、願いが叶ったね。」
「スープじゃなくて焼き魚が食べたいんだ!」
「スープのほうが飲みやすくていいでしょ。。。文句言わない。」
なんて、ちゃんと会話ができるくらいに。。。
ヨーグルトは、おいしい、おいしいと、私の分まで食べてしまいました。

午前中の死んでいるんじゃないかと思うくらいにやつれていた
人と同じとは思えないくらいの、食欲と元気さ。。。

久しぶりに、穏やかに、昔話をしたり、これからのことを話したり。。。
ずっと長い間、未来のことに関する会話ができなかったのに、
それで、家庭内別居のようになってしまっていたのに、
あの日は不思議なことに今までできなかった話ができました。

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「日本に会社を作るんだ。そして自分たちでスペインから輸出して
日本に輸入して販売網を作れたら、いいよなぁ~」と夢のようなことを
語っていました。。。

日本の取引先関係の人の話とか、仕事の話ばかりしてました。
この数年、仕事の話をしても、勝手にしろとか、知らんとか
ばっかりで会話にならなかったのに。。。

何時くらいまで話していたでしょう・・・。
夫もたくさんしゃべって疲れたようで、スーッと眠ってしまったので
私も簡易ベッドを準備して眠ることにしました。。。

長い長い一日でした・・・。

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「天使の梯子」とか「ヤコブの梯子」と呼ばれる、光のカーテン。
あの日の夕方2つ見ました。
それも、2つとも鮮明で、全部で1時間以上見えていました。
この世のものとは思えない、とても不思議な時間が流れていました。



12/11/2013
10.10