番外編「2011年11月14日のこと・・・」

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朝早めに起きて、メールを書いたり、ブログ・facebookに
緊急事態発生で、どたばたするので、当分書き込みなど
できない可能性があることを投稿し、ほっと一息ついたとき、
7時すぎ携帯に電話がありました。

こんな朝早くに電話なんて、いやな予感。。。

と思って取ったら、やはり・・・病院からでした。

えっ、こんなに早く?!
まだ今日も会いに行くつもりだったのに・・・。

確かに、昨日帰り際に先生が、今夜かも・・・って言って
いたけれど私はそんなことはない、まだもうしばらく大丈夫
だと思ったのに。。。

昨日は息子たちと友人たちと話すことで精一杯で私は
まだちゃんと話してないのに。。。

一昨日の夜の話は、仕事のことだけで、子供のこととか
何にも聞いてないのに。。。

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とりあえず、日本の両親にだけメールして、アルベルカの
知り合いに電話をしたら、病院へ連れて行ってあげるから
準備をして待ってて、と言われました。
大きい息子や昨日お見舞いに来てくださった友人夫妻、
サラマンカでお世話になった方にも電話で連絡をしました。

子供たちが起きる時間になったので、起こして、事情を話し、
朝ごはんを食べさせて、学校へ送り出そうと思ったところに
知り合いが迎えに来てくれたので、車で学校まで送り、
その後、サラマンカへ。。。

体はベルトコンベアーに乗っているように、ただ、事務的に
周りが言うままに、動いていましたが、心は、ずっと止まった
まま・・・そんな感じでした。

病院へ着いて、部屋に入ると、冷たくなった夫がベッドに
寝ていました。

一昨日、昨日の空気感とはまるで違い、別の部屋のように
寒々しい感じがして。。。
呼吸が止まり、心臓が止まり、体温が下がるってことは
こういうことなのか・・・というのを肌で感じてしまいました。
でも、なんだか、彼の魂は私が来るのを待っていて、
病室の中にまだいるような感じがしました。

先生が死亡診断書を持ってきてくれたと思ったら、次は
男性がやってきて・・・誰かと思ったら、葬儀屋さんでした。
そして、ソーシャルワーカーの人もきて、遺体をどうするのか
埋葬はどこにするのか、などを矢継ぎ早に聞いてきます。
病院は、部屋を早く空けてほしいと言うし。。。

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サラマンカの知り合いも仕事を抜けて来てくれて、とりあえず
葬儀・埋葬をどうするかの話し合い。。。
恥ずかしい話、私は葬儀や埋葬をするために十分なお金を
持っていなかったので、私は、どうしよう、どうしよう・・・って
感じだったんです。

どのくらい費用がかかるか、とかも全然知らなくて、どうやって
支払いをしたらいいのか、とりあえず、誰かに立て替えて出して
いただいて、徐々に返すしかないな、日本にいる両親にまた
頼まなくてはいけないのかしら・・・とか、大きな息子たちは
少しくらい出してくれるかしら・・・とか、頭の中をぐるぐる・・・。

葬儀屋さんの話では、サラマンカの病院の近くで埋葬する
のが一番安くて、アルベルカまで遺体を運んでから埋葬する
とかなり金額がかさむということをでした。

「ひろみは、どうしたいの?」「彼から聞いてるの?」と聞かれ、
入院した日、寝室にあったノートに「死んだら火葬にしてほしい」と
いうメモ書きを見つけていたので、そのことを言ったら、
「じゃあ、希望通り火葬してあげようね。。。」

火葬の費用を聞いたら、アルベルカで埋葬するよりも少しだけ
費用が安かったので、ちょっとほっとしました。。。

サラマンカの知り合いの人の奥さんがキリスト教系の慈善団体で
仕事をいているので、アルベルカの教会の神父さんに話して
くれて、私もよくわからないうちに、慈善団体から援助してもらって
残りはみんなで少しずつ出し合って、火葬の費用にしよう、という
ことに決まりました。

教会の神父さんが紹介してくれた葬儀屋さんに連絡を入れ、
午後に、身分証明書などのコピーのために、事務所に寄りました。

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火葬は、死亡後24時間以上経ってから、つまり、翌日以降に
しかできないため、一晩病院の地下の霊安室で預かってもらう
ことにしました。
普通なら、家族も一緒にとか、埋葬場所の近くの霊安所で
お通夜のようなものをするのですが、子供たちを置いてきて
いるし、かといって、子供を呼びよせるわけにもいかず・・・。

周りの人が助けてくれたから、なんとかなったようなもので
これ以上わがままも言えない状況でしたから・・・。

現実感がないというか・・・。
夫は、ただ、眠っているだけって気がして、でも周りでは、話が
どんどん進んでいて・・・。
まるで映画を見ているような感じ。。。

不思議と涙が出て取り乱すって感じではありませんでした。。。
現実を受け止めるのに精一杯で、感情が麻痺してしまったんじゃ
ないかと思うくらいに。。。

唯一、病院のカフェテリアでみんなでコーヒーを飲んだりして
いたときに、パキが、「入院した日、電話したのよ。
そしたらね、『俺行くよ』って言うの。『行くってどこへ?
アルベルカに、戻ってくるんでしょ?』って聞いたら、
『違う、永久に逝くんだ。』って言ったの。。。
自分でも分かっていたのかもね。。。」と言ったとき、
そのときだけは、大泣きしてしまいました。

やっぱり・・・夫は、最後の最後まで子供と一緒にいたいから
かなり我慢していて、心配かけたくないから、私にさえも
弱音をはかずに、できるだけ普通にしていたのかもしれない・・・。

そう考えると、それまで、理解できなかったことが、点と点が
つながって線になるように、いろいろと氷解したのでした。。。

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写真は全て、今日の午前中撮ったもの。
夫と歩いた道。。。


実は・・・今でも、本当に彼の死を受け入れているのかわかりません。
「死んだ」ということはわかっているけれど、彼が息を引き取る瞬間に
立ち会っていないし、なんだか、ここにはいないけれど、生きているん
じゃないか、とか、いつも一緒にいるような気がしているんですよね。。。

目の前に存在していたときに、いつも感じていたざわざわするような
違和感がなくなり、すごく大きな安定した感じがあるんです。
これは、言葉に言い表すのが難しい感覚です。。。

2年経って、この間からこうやって書き始めて、私の心の中を
整理しているんだな。。。って思います。
去年は引越しさわぎで、それどころじゃなかったから、3回忌の
今年が、そのときなのだろうな・・・って感じです。


2年前に書いた記事。
この数日のこと。(2011-11-15)


14/11/2013
10.12