番外編「2011年11月15日のこと・・・」

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サラマンカの火葬場は、市内ではなく、ちょっと離れた
郊外の村にあります。
名前は忘れてしまいました。
方向的には、病院に近い場所だと思います。

11時半に、葬儀屋さんとサラマンカ市内から、その村へ
向かう分岐点で約束だったので、久しぶりにのんびりと
朝を迎えたような気がします。
とはいっても、ほんのちょっぴりだけです。。。

気持ちはなんか、ぽっかりと穴が開いて、落ち着かない
感じがしていて、前日仕事関係の人や親戚からお悔やみの
メールが届いていたので、返事を書いたりしていたし、
出かけるぎりぎりまで、なんだかんだとどたばたしていました。

仕事関係は、私は連絡しなかったのですが工場の人が
やってくれていたようですし、親戚も私の父親が連絡を
してくれたみたいでした。

子供たちは学校で給食を出してもらえるように知り合いが
頼んでくれていたので、私がお昼に家にいなくても、
夕食までに帰ればなんとかなるので時間的に余裕があり、
助りました。
こういうときは、小さな村だと、融通が利くし、助け合いの
気持ちがあるので、よかったなぁ~と思いました。

もしも、マドリッドにいるときのことだったら・・・きっと誰に
頼っていいのかわからず、途方にくれていたと思うし、
アルベルカに引っ越してきてからのことで、守られている
というか、助けられているなぁ~と感じました。

マドリッドを離れなくてはいけなくなったもの、次にこういう
ことがやってくるから、そういう流れになっていたってこと
なのかもな・・・と考えたり・・・。

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葬儀屋さんの車がやって来て、後を追って、火葬場へ。。。

マドリッドの息子たちや友人夫妻も今回はもう来ないって、
連絡があって、知り合いの姉妹と、私だけが見送るだけで、
寂しいけれど仕方ない・・・。

火葬場について、びっくり。。。
夫と私が出会った頃、夫の会社共同経営者だった2人が
マドリッドから駆けつけてくれていました。
アルベルカの知り合いが連絡をしてくれたのだそうです。

炉に入れる前に、棺を開けてもらって顔を見ました。。
元共同経営者の一人が私と一緒に最後の挨拶をしてくれました。
日本式ではなく、スペイン式の棺なので、白いレースの
服を着せてもらっていて、まるで天使のようでした。。。
あんなに大きな体だった人が、小さく感じるものなんですね。
体調を崩してから、食欲がなく、かなり痩せてしまっていたの
ですが、棺の中に入ると余計にそう感じてしまいました。

そして、炉の中に・・・。

煙とともに空へ戻っていく・・・。

自由を取り戻し、大空へ・・・。

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久しぶりに会ったので、昔の話とか、しばらくしていましたが、
スペインでは、日本のようにお骨を拾うとかそういう風習がなく
焼いている間ずっと待っていても仕方ないし、遺灰は夕方、
事務所のほうへ取りに行くことになっていたので、どこか別の
場所へ行こうってことになってしまって、バルへ。。。

バルの中ではもう、夫に関わる話をするでもなく、互いの近況
報告などをしていて、私はなんだか、ぼーっと、聞いているだけ
でした。。。
できるなら、一人で火葬場に座っていたい気分だったけれど、
みんな気を使ってくれているのがわかるので、わがままも言え
ないって空気を感じていました・・・。
(私の思い込みだったのかもしれないけれど・・・)

しばらくバルで話して、マドリッドの2人がもう帰る、というので、
お開きに・・・。
火葬場には戻らず、そのままサラマンカの市内へ。

私たちは、夕方に遺灰を受け取りに行かないといけないので、
お昼ごはんを食べて時間をつぶすことに・・・。
駐車がしやすいデパートへ。

特に何が食べたい、というものもないし、というか食欲自体が
感じられない状態・・・。
だから、適当に、セットを頼みました。
半分くらい残したような気がします。。。

お昼の後、スーパーマーケットに寄ってお買い物。。。
ここでも、何を買ったらいいのか、全然わからなくて・・・でも
牛乳がなかったかも・・・と思って買うことにしました。

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そうこうしているうちに、約束の時間に近づいたので、移動。。。
昨日行った事務所ではなく、別のところでした。
小さな入れ物と書類を渡されて、それで終わり。。。

冷たくなった夫を見たときにも感じたけれど、あっけない・・・。
そして、棺に入った夫を見たときにも感じたけれど、あんなに
体の大きかった人が、こんなに小さくなってしまうんだ・・・。

とにかく、早く家に帰りたいね・・・
子供たちに会いたいね・・・
そんな感じでした。。。

金曜日に入院して、月曜日早朝に亡くなって、火曜日には
荼毘にふして・・・と、たった数日前まで生きていたのに
今は小さな入れ物の中・・。
肉体はそうかもしれないけれど、彼の魂は大空に戻り自由に
なっているんじゃないかな、って気がしました。

不自由な痛みが襲う肉体を離れて、自由気ままにあちこち
飛び回っているような気がしてなりませんでした。。。

そのほうが、彼らしい・・・そう感じました。
これで、よかったんだね・・・って。。。

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去年書いた記事
「一周忌」(2012-11-14)

2年前に書いた記事
この数日のこと。(2011-11-15)
「宿命(2011-11-17)」
「運命(2011-11-18)」


2年前の記事の中に、
「遺灰の一部は、49日を過ぎたら、ラ・アルベルカで一緒に
散歩した道や、今度マドリッドに行った時によく行った場所
に撒いてこようかな・・・って思っています。」って書いたのですが
結局まだ、そのまま手元にあります。。。

日本に半分持っていける日が決まるまで、つまり、仕事がうまく
いって収入が安定するまで、家にいてもらうことに現段階では
計画を変更しています。。。


写真は全て、昨日の午前中のお散歩で撮ったもの。


さっきから、急に、『Time to Say Good-bye』
浮かんできて、気づいたら歌っていました・・・♪


15/11/2013
10.13