～同調～
～Simpatizar～
一緒に暮らしていると、相手の思考や感覚、感情とかの
影響を受けてしまうんですね。
私の実家の家族、特に母方の親戚たちは、とにかく皆
大らかな人たちで、優しくて、いつも居心地の良い雰囲気
があって、大好きな人たちでした。
実家は父親はとても厳しかったし、母も気の強い人だった
のですが、二人とも愛情深く育ててくれて、私がやりたいと
いうことは、できるだけ叶えてくれる良い両親でした。
Fくんは、両親が本当に小さいときに離婚して母一人子一人
で育っていて、どこか暗い影のある、一筋縄ではいかない
タイプの人でした。
お母さんも苦労をして育てた息子にべったりというか、今まで
育ててあげたんだから、これからは面倒見て頂戴っていう
感じが見え見えの人でした。
私の両親は、どんなことがあっても、子供達の世話になろう
とか、頼ろうとかしないタイプの人たちだったので、こんな親も
いるんだ・・・と最初は本当に驚きました。
たまに夜に話につきあうと、過去にこんなことをしてあげた、
あんなことをしてあげた、自分はいろいろ我慢したけれど、
Fには、とにかくできる限りのことをやってあげた、ととても
得意げに話してました。
でもFくんの言い分では、あんな母親最低、って感じで、
何が何だか、私には理解不可能な親子でした。
そんな二人の間で、暮らしていると、私も彼らのひねくれた
考え方とか生き方、世間に対する、うらみつらみのようなもの
とか、自分がどれだけ苦労しているかを誰かに認めてもらい
たいという欲求など、私が今まで接したことの無いタイプの
感情と、毎日身近でいつも感じなくてはいけない状態でした。
逃げ場がない、っていうのが、こんなにつらいの？っていうくらい。
もちろん、仕事をしている間は、彼らと離れているので、
私も仕事に集中してリフレッシュできていたのですが、
阪神大震災以降、仕事場でもいつもピリピリした雰囲気を
感じて、私自身が人々の冷たさに、嫌な気持ちを持ったり
していたので、いつの間にか、彼らのネガティブな思考に
同調してしまっていたんじゃないかと思います。
いつのまにか、私は侵食されてしまっていたみたいです。
無理やり同居したことは、自分が蒔いた種なんですけれど、
阪神大震災は、私とは関係ないレベルで起こったことだけど、
なんか、全て、自分の選択、行いが間違っていたんじゃないか
って、いつも自信満々でいた私が急に全てに自信を失くして
しまって、仕事に行っても、なにか落ち着かない感じがして、
集中できない、判断ができない、そんな感じになっていました。
それでも、最近スランプかな、疲れているのかしら？、なんか
どうもおかしいなぁ～、でもがんばろう、って感じで、なんとか
仕事は続けていました。
