~浮上~

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~Subida~

海の底の深い闇の中から、少しずつ少しずつ、もがきながら
上に向かって泳いでいるような日々を続けていて、ある日突然
水面の上に顔が出た瞬間のあの眩しさ・・・。

世界が全て美しく輝いて見えました。
それまで、全てがどんよりぼやけていたように感じていたのですが
本当に、突然ぱーっと光が射して、全てが鮮やかに、活き活きと
くっきり見えたんです。

セピアカラーの世界から、ビビッドカラーの世界へ突然迷い込んだ
んじゃないか、って思ったくらいに・・・。
とりあえず、挨拶に行かなくては・・・ということで、行きましたが、
自分自身の弱さで、仕事を放棄してしまったわけですから、また
働きたい、なんて、言うことはできないだろうな、って思いましたから、
どうもご迷惑をかけ申し訳ありません。正式に辞めさせてください、
と挨拶をしました。

もしも、引き止められたら・・・また働いていたかもしれませんが、
私の中では、スペインへ行きたい気持ちが強くなっていたので、
いずれにしても長く働くつもりがなかったから、この機会に辞めて
しまって、いつでも直ぐに辞めれる、別のアルバイトを探した方が
いいだろうな、って思っていました。

Fくんも、遅かれ早かれ、会社を辞めるようなこと言っていたので、
もう、二人して、スペインへとにかく行こう!って盛り上がってました。
問題は、Fくんのお母さん・・・。
同居したけど、スペインへ行くとき最初から来てもらっても、私達の
行き先さえも、全く未定な状態で、お母さんのことまで考えてられ
ないだろうから、落ち着いてから、呼び寄せたらいいやん、って
ことになり、話し合いをしましたが、どうも、折り合わず・・・。

とにかく、一緒には行けない、と言って、大阪に残るのか、戻るのか
決めて欲しいと、はっきりと伝えたら、戻る、ということになりました。
もう、戻ると決めたら、早いもので、どんどん荷造りをして、引越しの
準備を始めてました。
たぶん、大阪での生活にかなり嫌気がさしていたみたいで、本当は
戻りたくて仕方なかったんだと思います。

でも、自分から同居したいと頼んだ手前、そんなこと口が裂けても
いえないし・・・というプライドの高い人でしたから、実は、私達の
提案は、渡りに船だったんだと思います。
ある程度の年になってから、親しい友達もいない慣れない土地で
暮らすなんて、本当に覚悟が要ることですから・・・。

戻るときの引越しは、レンタカーでバンを借りて、荷物を運びました。
Fくんのお母さんがどんなところに住むのか見ておきたかったし、
スペインへ行く前に、Fくんが高校の担任の先生に挨拶して、
大学に入るときに借りたお金を返しておきたい、と言ったので、
高速を飛ばして、荷物を持っていきました。

荷物を降ろして、そのまま、Fくんが通った高校に寄って、先生の
家の近くのお店で待ち合わせをしてご挨拶と返金。。。
そしてその帰り道、信じられないようなハプニングが・・・。